フレイルとは加齢により心身が衰えた状態全般のことであり、健康な状態と要介護状態の中間の状態です。フレイルは、身体的問題のみならず、認知機能やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含みます。
超高齢化社会に突入した日本では、生物学的寿命より男性で9年、女性では13年の間、要介護状態であるといわれており、健康寿命をいかに延ばすかが大きな課題となっています。フレイルはしかるべき適切な対応をとることにより機能を戻すことができるといわれています。そこでささいな衰えに早く気づき対応することが大切です。
フレイル予防のための3つの柱は、①栄養(食と口腔機能)②身体活動(運動と社会活動等)③社会参加(就労、余暇活動、ボランティア等)です。
3つの柱をそれぞれ底上げして健康な生活を目指しましょう。
オーラルフレイルは、口に関するささいな衰えを放置することによって、口の機能低下、食べる機能の障害、さらには心身の機能低下までつながってしまう一連の現象のことです。口に関するささいな衰えとは以下の6つのような項目があります。
①むせる・食べこぼす
②舌が回らない
③少ししか食べられない
④お口が乾く・ニオイが気になる
⑤柔らかいものばかり食べる
⑥自分の歯が少ない・あごの力が弱い
これらのオーラルフレイルは全身のフレイルや身体機能の低下に先立って生じることがわかっています。放置すると、4年後にはフレイル(心身の活力低下)や要介護状態に2.4倍なりやすいといわれています。
ささいなお口の衰えをそのまま放置することは大変危険です。オーラルフレイルを早く見つけて、しっかり対応することが大切です。
当てはまる項目があれば、オーラルフレイルが始まっています。
ほおっておくとフレイルや要介護になるため、口や舌の体操などが必要です。
歯と口の健康への関心が低いと、気づかないうちに歯周病やむし歯となり、治療しないまま歯を失うことで、口の機能(呼吸する、話す、食べる飲み込む等)が低下します。
その結果、食欲低下やバランスの良い食事がとれず、食べる量が減少し、低栄養となりフレイルが進む恐れがあります。歯と口の変化にはやめに気づけるようにしましょう!
65歳の神戸市民を対象に、神戸市歯科医師会の協力のもと地域の歯科医院において、「オーラルフレイルチェック事業」が行われています。
チェック事業として、歯のかみ合わせ状況、滑舌や飲み込み、口の乾燥などをチェックし、歯科医師や歯科衛生士による指導を行います。チェックの結果、オーラルフレイルと判定された方には、その状況に応じて①動画等での口腔機能トレーニング②歯科医療機関での治療や指導により、オーラルフレイルの改善を図ります。
さらにフレイル予防の取り組みが必要と判断された場合、あんしんすこやかセンターを通じて、フレイル改善通所サービス等へつなげ、地域で継続的に口腔体操を含めたフレイル改善ができるよう支援していきます。
自分の口の衰えに早く気づき、口の機能の改善を図ることで、必要な栄養を取ることや会話などの社会参加がしやすくなり、心身のフレイル予防へと繋げていきます。